何歳になっても成長できるツール

４月も半ばになってやっと春らしい気温になってきた。　とはいっても新開地マイソールに行くために早朝家を出る時にはまだちょっと肌寒い。　でも夜明けの時間が日に日に早くなってきたことが実感できる。

昨日、始めて開催した入門クラスで体験レッスンを受けに来てくれた生徒さんがいらっしゃり、　どうしてアシュタンガヨガの練習を始めてみようと思ったかということを話してくださって、　今まで通っていたホットヨガスタジオのクラスでは自分がヨガで何か成長したか、いまいち実感がもてなくて、ネットで検索したらアシュタンガヨガ、というキーワードが出てきた、ということで、そこから私のクラスを見つけてくださったというお話だった。

練習生活がもうずいぶん長くなると、アシュタンガヨガの練習が生活の一部になりすぎて、当たり前になりすぎて、自分が成長してるとか　どうとか、もうそんなに考えなくなってしまったけど、　確かにアシュタンガヨガの練習って素晴らしく人を成長させるツールであると思う。

体の変化はもちろん、心の変化も、特に全くヨガ経験ゼロの人がアシュタンガヨガの練習を始めて毎日練習する生活になって１年も経てば１年前とは結構な割合で劇的に変わっている。

練習生活１年目から３年目くらいまでは変化の幅も大きいから自分でも他人から見ても　とても分かりやすいくらい変化して、それから段々と変化の度合いは劇的ではなくなっていくけど、　練習し続けていくと気がつけば体だけではなく、心が変化していっていくことに気がつく。

まぁ、週に３日以上の練習を課されるストイックな練習生活をしているから当然といえば当然なのかもしれないけれど　それでも大人になってから３０歳や４０歳、５０歳を超えてからそんなに成長させてくれることって　そうそうないような気がする。

これはきっとアシュタンガの練習はマイソールスタイルで練習することを基本にしていて、自主的に自発的に練習し、その頻度も週に練習３日以上と頻繁に練習していくこと、単なるストレッチではなくて、しっかり筋肉を使い鍛えること、自分の外側の世界でなく内側に意識を向け集中することを良しとする練習システムだからなのではないかな、と思う。

だいたい一般的なヨガのクラスってヨガスタジオの前のほうに先生がマットをしいていて、先生がしているポーズを真似して自分もしたりとか、先生が考えたポーズの流れを言われるがままに動いていくクラスがほとんどで、　自分で覚えて練習する、ってスタンスはほとんど見かけたことがない。

それでも定期的に練習していると次第に体は柔らかくなりはするけれど、　マイソールスタイルでの練習のような　練習時間中ずっと自分の内側を観る、内観するような時間はない。

今までクラスをしてきて　どんなポーズをするか言われたらできるけど、自分で覚えて、って言われると　途端に戸惑う人も多く見てきた。

ヨガの練習をするにしても、受け身でやるか、自発的にやるかでずいぶん練習を始める時のマインドセット、心構えからして全然違うと思う。

もちろん全く初めての時は教えてもらわないと分からないから動けないんだけど、先生の動きを真似して言われるがままに動くだけじゃなくて、自分で練習しよう、覚えよう、って心を持てるかどうかってとても大きいと思う。

体が堅くても、思うようにポーズができなくても、　自分で覚えて自発的に練習する生活、そんな生活を週に３日～６日も送る日々が１年も続けば人はとても成長している。

練習の順番を覚えていないから覚えてからクラスに来ようと思う人が結構いるみたいだけど、練習の順番はクラスに来るから覚えるのであって、そこの順序を間違えている人もとっても多い。　アシュタンガヨガのポーズの順番は頭で考えて覚えるものではなくて体で覚えるものだからクラスに来て練習しないと覚えられない。。

だから順番を覚えていなくても、体が堅くても、何歳でも、男女の性別も関係なく、本当に誰でもマイソールスタイルで練習できるのに　日本人は真面目に考える人が多いのか、そこを勘違いしている人の話をちらほら聞く。　それは誤解なのに。とても残念なことだと思う。

大人になってから自分の成長を感じられるって、何て楽しくて幸せなことなんだろう、と思う。　そんなツールがアシュタンガヨガだ。　肉体的な変化は年齢とともに遅くなるかもしれないけれど、ゆっくりでも何歳であっても変わっていく。　心も変わっていく。　こんな変化をもたらしてくれるものって本当に貴重だ。

私はアシュタンガヨガに出会えていなかったら今頃どうなっていたんだろう、と思うくらいに私の人生に欠かせないものになっている。　アクロバティックなポーズばっかりするんでしょ？とか、キツイんでしょ？、とか　自分で覚えるなんて、、とか小難しく考えず取り組んだ人しか味わえない醍醐味、　始めは少し大変に感じるかもしれないけど、　頻度高く練習していけば、大半の人が成長できるヨガ、それがアシュタンガヨガだと思う。

普段当たり前すぎて　無意識になっていたけど、アシュタンガヨガの練習の良さを改めて考えさえられた気がする。